あなたは安岡正篤(やすおかまさひろ)という、日本人哲学者をご存知でしょうか。
安岡正篤とは日本の哲学者、思想家で、政治に多大なる影響を与えてきました。
その影響力ゆえに、昭和史の最大の黒幕とすら呼ばれるほど。
そんな大きな影響力を持っていた安岡正篤が大切にしていた思想があります。
それが「六中観」という教えです。
この六中観の思想は、特に忙しい現代にこそ大事にしたい思想です。
具体的な内容は以下の6つあります。
- 忙中閑あり
- 苦中楽あり
- 死中活あり
- 壷中天あり
- 意中人あり
- 腹中書あり
1.忙中閑あり
最近は、ライフワークバランスという言葉を聞くようになりました。
いわゆる、仕事と休暇のバランスを取りましょう、という考えです。
確かに、働きすぎは良くないです。しっかり体を休めることも重要です。
しかし、ここで紹介する「忙中閑あり」は、本当の休暇というのは、忙しさの中にこそあるということを述べています。
毎日、忙しく慌ただしく活動している人はいます。
僕も「この人は毎日仕事してるなーすげーな」と感じる人が何人も出会ってきました。
側から見ると、「働きすぎでは?」「頑張りすぎでは?」と思うほどですが、そういう人ほど、こぞって日々元気で楽しそうに生きています。
その秘密が、忙しさの中に暇を見出すことができるかどうかなのですね。
逆に本当にダラダラしている時って、余計に疲れたりしませんか?
確かに、止まってゆっくりする時間も大切ですが、忙しさの中に一息つく時間を見出す意識も大切にしたいですね。
2.苦中楽あり
楽しい仕事がしたい、楽しい生き方がしたい。
そのような「楽しい」という表現。
しかし本当の楽しさとは、苦しさの中にあるというのが、「苦中楽あり」の教えです。
例えば、なんかWebデザイナーはキラキラして楽しそうに働けそうだ。なんて思ったとしましょう。
しかし、実際にやってみると、デザインの基礎を学んだり、お客さんとの打ち合わせに時間を使ったり、資料や事務作業などの地味な仕事が多かったりするという現実があります。
その表面の部分だけを見て、「Webデザイナー楽しくないな」とか「自分には向いていないな」と感じてしまうのは、本当の楽しさを知らないからです。
仮にWebデザイナーの仕事内容を楽しさを感じられたとしても、大半は新鮮だから楽しいのであって、慣れてくれば徐々に飽きが生じてきます。
そうなると、「飽きたからやめちゃお〜」と考えてしまいかねないのです。
しかし、プロや一流は、それら苦痛を超えた先に本当の楽しさがあることを知っています。
元プロ野球選手のイチローも、練習に行くこと自体は嫌だとインタビューで答えていました。
僕が普段お世話になっているコンサルタントの方も、「絶望が95%ぐらい。だけど残り5%は希望ややりがいがあるから楽しんでやっている」とおっしゃっていました。
つまり、真の意味での楽しさは苦痛を超えた先にあるのです。
これはおそらくどの仕事でもそうではないでしょうか。
コピーライターや動画編集者、そのほかコンサルタントなどありとあらゆる仕事には、表面とは異なる裏側の地味な仕事があります。
下手すると8割が地味な仕事だと言っても過言ではありません。
でも、その地味な裏方仕事があるおかげで、お客さんに喜んでもらえるのです。
挫折しそうになったり、やめたくなったときはぜひ「苦しさの中に楽しさがある」ということを思い出してください。
3.死中活あり
名前のとおり、死の中に活があるということ。平たく言えば、ピンチこそチャンスという思想です。
「発酵道」という本の著者である、寺田本家の寺田 啓佐という方は、利益だけを追求する経営を続けた結果、会社の売上が立たなくなってしまった、だけでなく大きな病気までしてしまったそうです。
ですが、この出来事をキッカケに、経営を見直し改善した結果、体調が回復し、経営も順調に回り始めたそうです。
ちなみに僕は、死にそうになった経験もなければ、借金何百億円といった絶体絶命のピンチに陥ったことはありませんが、ピンチになればなるほど活路が開けるという経験は何度もあります。
売上がマズい時ほど、あの手この手で打破してきました。
また僕が過去、コンサルティングをさせていただいたお客さんで、就職ができなかったからこそ自分で起業した、という方がいらっしゃいます。
また夜勤の仕事がしんどすぎるから、仕事を辞めて独立したり、
これから家族が増えるから、今の仕事の給料じゃ足りない!と仕事を辞めて自営業を始めた人も多くいらっしゃいます。
これはつまり、危機意識が芽生えることで決意が固まり、次のステージへのアクションを起こしたと言えます。
もしあなたが、「今ヤベェ」と感じているならそれはチャンスです。
「死中活あり」。ぜひこの言葉を胸にとどめておいてください。
4.壷中天あり
壺中天ありという言葉はあまりイメージが沸かないかもしれませんが、自分の中の世界を持とうという意味です。
壺という世界から隔絶された空間があり、その中に天がある、という表現です。
これはシンプルに言えば「自分の夢中になれることや、趣味を持とう」ということです。
自分が普段関わっている日常から切り離された感覚を大切にすることが説かれているのですね。
ちなみに、僕は数学が趣味で、仕事の合間には数学に熱中しています。
正直、数学が自分の仕事に役立つのかどうかはわかりません。事実現在は特にこれ!といって役立っている気配すらありませんからね笑
しかし、数学を学んでいる間は心穏やかになり、禅にも似たような感覚になります。
時には、社会とは断絶された感覚や熱中できる何かに取り組むのが良いのでしょう。
5.意中人あり
常に、心の中に指示する人を思い描くことが大切だという教えです。
これは心の中に師匠を宿すみたいなイメージです。
この考えは、自分が迷った時、逃げ出したくなった時、挑戦が不安になった時などに力を与えてくれる思想です。
「こんな時、あの人ならどうするだろうか?」
このように向かうべき道を明らかにしてくれるのですね。
僕が以前、一緒にお仕事をさせていただいた美容品会社の方は、「心の中に常に師匠を宿している。迷った時はその人に聞いている」とおっしゃっていました。
僕にも、心の中に師匠を宿しています。
ぜひあなたも宿してみてください。
もし身近にいないよ〜という方は、尊敬する本の著者やその人の考えなどを参考にすると良いでしょう。
6.腹中書あり
腹の中に常に、「本」を持つ、という思想です。
これは平たく言えば、自分なりの哲学や規律を常に持っておくことの大切さを述べています。
「意中人あり」と近しい概念ではありますが、「腹中書あり」はどちらかと言えば、日常的な行動の方針を持っておくことに焦点を当てています。
この哲学や根本の方針を持っておくことは非常に大切です。
なぜなら、何をするにしてもこの行動方針があることで進む道や方向が明確になるからです。
ちなみに、僕は日々の活動にはスイスの哲学者カールヒルティの「幸福論」、ビジネスにおいては宮本武蔵の「五輪書」を大切にしております。
このように自分が大切にしたい価値観が記載された本を一冊で良いので、常に自分の心の中に置いておくのが重要なのです、。
六中観のまとめ
ということで、六中観をまとめますと、
- 忙中閑あり
- 苦中楽あり
- 死中活あり
- 壷中天あり
- 意中人あり
- 腹中書あり
特に価値観も多様化し、カオスで忙しい現代だからこそ意識したい考えですね。
コメント